【知的探求フロンティア!タモリ・山中伸弥】認知症の克服の鍵・最新研究と今日からできる予防策で未来を変える!

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びっくりはてな

2025年9月6日放送の知的探求フロンティアで認知症の克服の鍵・最新研究と今日からできる予防策で未来を変えるについて紹介されました!

「認知症」と聞いて、あなたはどんなイメージを抱くでしょうか?遠い未来の病気、他人事…そう思っていた方も、実はもう他人事ではありません。

大切な家族が認知症になった時、できることが減っていく姿、そして「息子だ」と認識されなくなる時の悲しみは計り知れないものです。

しかし今、世界中の研究者や製薬企業が、この病気の克服に向けて必死に新薬開発に取り組んでいます。

番組では、認知症研究の最新の発見と、今日から実践できる具体的な予防策が紹介されました。

認知症の克服の鍵

認知症は身近な問題

かつては遠い病気だと思われがちだった認知症ですが、今や多くの人にとって切実な問題となっています。

身近な人が認知症になるケースも増えており、その進行を目の当たりにするのは非常に辛い経験です。

人生の歩みとともに失われていく記憶、そして大切な人とのつながりが薄れていく悲しみに、多くの方が直面しています。

しかし、希望はあります。認知症克服の鍵が、まさに今、最新の研究から見え始めています。

最新の研究から見えてきた認知症のメカニズムと治療への光

感染症と認知症との関係

なんと、感染症と認知症が深く関わっていることが、最新の研究で明らかになってきました。

2024年2月、イギリスから衝撃的な研究結果が発表されました。

約100万人規模のビッグデータ解析により、新型コロナウイルスに感染すると、アルツハイマー病の進行を示す指標が2年から4年分進む可能性があることが指摘されたのです。

新型コロナウイルスだけでなく、肺炎やインフルエンザなど、重い症状の感染症を経験した人は、認知症のリスクが2倍になることも分かっています。

これまで医療や研究の現場で別々に扱われてきた感染症と認知症が、実は密接な関係にあることが近年明らかになってきているのです。

ワクチンによる予防効果

日本の65歳以上の約1万人を対象とした研究では、肺炎球菌ワクチンを接種した人は、未接種者に比べて認知症の発症が23%少なかったと報告されています。

さらに、インフルエンザや破傷風、そして特に注目されているのが帯状疱疹ワクチンです。

帯状疱疹ワクチンは、たった1回の接種で7年後までの発症リスクを20%低下させる可能性があるとされています。

ワクチンは、感染症自体を防ぐだけでなく、感染してしまった場合でも免疫反応(炎症)を軽く済ませ、脳へのダメージを減らす効果も期待できるのです。

なぜ感染症がリスクを上げるのか

なぜ感染症が認知症のリスクを高めるのでしょうか?専門家によると、ウイルスや細菌が脳に直接感染すると、脳や脳の血管がダメージを受け、「脳炎」と呼ばれる状態になり、認知症のリスクが非常に高まります。

また、脳に直接感染しなくても、体内で免疫反応(炎症)が起こると、間接的に脳にも影響が及び、脳内で炎症が起こることが分かっています。

この脳内の炎症が、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータの増加を促し、病状の悪化につながる可能性があるのです。

特にインフルエンザウイルス、帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルスなど、脳に影響を及ぼしやすいウイルスがあるため、感染してしまった場合はゆっくり休養をとり、栄養を摂ること、そしてワクチン接種で免疫力を上げておくことが大切です。

アミロイドベータの二面性

さらに驚くべきは、アルツハイマー病の原因物質として知られるアミロイドベータが、実はヘルペスウイルスなどの感染症から脳を守る働きがあるという事実です。

しかし、ウイルスと戦った後の「残骸」が脳に溜まりすぎると、それが悪いものに変化してしまうと考えられています。

これは、脳を守るために必要なものが、過剰に蓄積すると病気の原因になるという皮肉な話でもあります。

遺伝子研究の進展と新薬開発

認知症の謎を解き明かすために、遺伝子研究も大きく進展しています。

家族性アルツハイマー病からの学び

アルツハイマー病全体のわずか1%を占める「家族性アルツハイマー病」は、特定の遺伝子を受け継ぐと確実に発症するという特徴があります。

この病気の研究(DIAN研究)により、アルツハイマー病は発症の20年以上も前から、アミロイドベータの蓄積が始まることが明らかになりました。

そして、記憶障害などの症状が現れるのは、そのずっと後なのです。

また、もう一つの原因物質であるタウは、アミロイドベータが溜まり始めた後に、わずか1年で脳全体に広がるなど、急速に変化することも分かっています。

アミロイドベータ抗体薬の登場

このDIAN研究の成果として、アミロイドベータ抗体薬が開発されました。

これは、アルツハイマー病の進行を緩やかにする画期的な薬ですが、初期の軽い患者さんにのみ有効であり、完全に病気を食い止めるほど強力ではないという課題も残されています。

「スーパー遺伝子」の発見とタウの重要性

南米コロンビアでは、家族が40代で発症する中、72歳まで発症しなかったアリリア・ロサ・ピエドゥライータ・デ・ビジェガスさんの事例が報告されました。

彼女の脳では、発症遺伝子によってアミロイドベータが大量に作られ溜まっていたにもかかわらず、タウはほとんど溜まっていなかったのです。

このことから、アミロイドベータが溜まっても、タウが溜まらなければ発症しないことが判明しました。

アリリアさんは「クライストチャーチ変異」という非常に稀な遺伝子変異を持っており、これがタウの蓄積を強力に防いでいたと考えられています。

この発見により、アミロイドベータは「引き金」であり、実際に認知症を引き起こしているのはタウであるという考え方が一般的になってきました。

このスーパー遺伝子をヒントに、タウの蓄積を防ぐ新たな薬の開発研究が進められています。

アポE遺伝子とリスクの個人差

私たちは誰もが「アポE」という遺伝子を持っていますが、これにはE2、E3、E4の3種類があり、その組み合わせによってアルツハイマー病になるリスクが大きく異なることが分かっています。

日本人ではE3を2つ持つ人が最も多いですが、E4を1つ持つとリスクが4倍、2つ持つと13倍にもなることが分かっています。

アポE4を持つ人の脳では、免疫細胞の過剰な炎症が起こり、神経細胞の重要な部分であるシナプスが破壊されてしまうことが明らかになりました。

シナプスは、情報伝達や思考、感情といった脳の働きを生み出す大切な部分です。

しかし、アポEは決して「悪い遺伝子」ではありません。体内ではコレステロールを運び、脳の神経細胞の発達を助ける不可欠な働きを持っています。

最新の研究では、アポE4を持つ女性は、出産後の回復が早く、より多くの子どもを産む傾向があることや、若い頃の認知機能が優れていることも示唆されています。

これは、アポE4がかつて人類の繁栄に貢献してきた可能性を示しており、人類の寿命が急激に伸びたことで、その悪影響が顕在化した可能性も考えられます。

認知症を遠ざける!今日からできる具体的な予防策

研究は進んでいますが、私たち自身が今日からできる予防策もたくさんあります。

日本の認知症割合の嬉しい変化

実は、日本の認知症に関する嬉しい変化が報告されています。

福岡県久山町の研究によると、65歳以上の住民における認知症の割合が、2012年をピークに減少傾向にあることが分かりました。

これは、喫煙率の低下や運動習慣のある人の増加といった生活習慣の改善、そして糖尿病や高血圧など血管性認知症のリスクを高める病気の対策・治療法の進歩が貢献していると考えられています。

ランセットが発表した14の危険因子

2024年には、医学雑誌ランセットの専門家チームが、認知症の発症リスクに影響を与える14の危険因子を発表しました。

これらの因子に適切に対処することで、なんと認知症の発症リスクを約45%も減らせることが明らかになったのです。

これらは教育機会(18歳以下)、難聴・高LDLコレステロール・うつ病・頭部外傷・運動不足など(18〜65歳)、社会的孤立・大気汚染・視力障害(65歳以上)と、年齢層ごとにリスクの影響度も異なります。

・幼少期~18歳(リスク割合5%):
「教育機会の欠如」がリスク因子として挙げられています。

幼い頃からしっかり教育を受けることで脳のネットワークが発達し、大人になって脳の一部に問題が生じても、それを補うことができるようになります。

義務教育のある日本ではあまり心配はいりませんが、大人になっても学習を続けることが脳のネットワークを保ち、認知症予防につながるとされています。

・18歳~65歳:
「難聴」(リスク割合7%)が注目すべき因子です。

難聴になると人とのコミュニケーションが取りにくくなり、脳への刺激が減ることで認知機能が低下すると言われています。

適切な補聴器の使用で、認知症の発症を17%も予防できるという研究結果も出ています。

・65歳以降:
最も大きなリスク因子の一つが、「社会的孤立」(リスク割合15%)です。

人とのつながりが十分でないと感じる「孤独感」は、認知症のリスクを1.6倍~2倍に高めることが分かっています。

家族やパートナーがいても孤独を感じる人は、そうでない人と比べてリスクが2倍になるというデータもあります。

・ペットとの暮らし:
国立環境研究所の研究では、犬を飼っている高齢者は、飼っていない高齢者に比べ、要介護認知症の発症リスクが40%も低いという結果が出ています。

犬の散歩は運動になるだけでなく、近所の人とのコミュニケーションを促し、孤独感の軽減にもつながります。

・ボリビアのチマネの人々のように、大家族の中で高齢者が重要な役割を果たす社会では、認知症の発症率が極めて低い(1.2%)ことが報告されています。

彼らは、家族に貢献することが自分の生きる意味だと感じています。

・散歩中に周囲に興味を持ち、頭を使うことも脳の活性化に繋がります。

また、明るく前向きに過ごしている人は、病気の進行が遅い傾向にあることも指摘されています。

運命は変えられる:エピジェネティクスの可能性

家族性アルツハイマー病の遺伝子を持つにもかかわらず、70歳を過ぎても発症していないダグラス・ホイットニー氏の事例は、私たちに大きな希望を与えています

彼の脳ではタウの蓄積が防がれており、その原因は「ヒートショックプロテイン」という物質が豊富に作られていたことにあるという仮説が立てられています。

ダグ氏が海軍で長年、高温のエンジンルームで働いていた経験が、このヒートショックプロテインを多く作る遺伝子のスイッチを入れた(エピジェネティクス)可能性があるというのです。

これは、遺伝子の設計図そのものは変えられなくても、生活習慣や環境によってその働きが変わる(病気の発症が抑制される)可能性があることを示唆しています。

ランセットで発表された14項目の予防策を日々の生活でコツコツと実行することが、このような「遺伝子の良い方向への変化」に繋がり、認知症の運命を覆す力となるかもしれません。

まとめ

認知症の治療法は日々進化しており、タウやアミロイドベータ、炎症などをターゲットにした複数の治療法の組み合わせが、未来の姿として期待されています。

しかし、認知症は単なる病気としてだけでなく、「人生を終える一つの方法」という深い視点も投げかけられます。

仮に治療法が確立されても、人間のあり方や幸福について深く考えさせられるテーマであることに変わりはありません。

私たちはこれまで、人として繋がり、支え合うことで生きてきました。

人生の終盤まで、人々が人生を楽しみ、意味を感じられるよう支援していくことが社会の役割であり、私たち一人ひとりも、予防できることは積極的に実践していくことが大切です。

今日からできる予防策を取り入れ、希望を持って認知症と向き合っていきたいものですね。

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