2025年6月15日放送の初耳学で米津玄師さんのインタビューについて紹介されました!
米津玄師
楽曲「Lemon」への思い入れ
「Lemon」は、リリースから7年でミュージックビデオがYouTubeで1億再生を突破し、史上最高記録を更新しました。
この曲は学校の教科書にも掲載され、米津玄師さん自身も「光栄な話」だと感じています。
「Lemon」には「死」という大きなテーマが込められており、制作中に母方の祖父が亡くなった出来事が深く影響しています。
ドラマ自体も「人の死に向き合う」テーマだったため、身内にも同じようなことが起きたことは、偶然でありながら「必然」のように感じられたと述べています。
子供の頃に過ごした徳島県の祖父の家の光景、特に山々の景色や印象的な故郷の風景が今でも心に残り、「Lemon」の制作に大きな影響を与えていると感じています。
亡くなった祖父への思いが歌に乗せられたことで、「Lemon」はリアリティを帯び、人々の心を打つ楽曲となりました。
米津玄師さんにとって「Lemon」は明確なターニングポイントであり、制作する前と後では「全然違う人生になった」と感じています。
この楽曲は、CM版と本編版でメロディや歌詞が異なる部分があり、締切の最後の最後まで修正を重ねたことが明かされています。
提出後にも「もう1回やらせてくれ」と頼み込み、レコーディングをやり直すほどのこだわりがありました。
創作の原点~宮崎駿
米津玄師さんの創作の原点には、宮崎駿監督の「大いなる存在」があります。
子供の頃からジブリ映画が大好きで、宮崎監督は「勝手になんか私淑する(その人を模範として慕い、学ぶ)ような気持ち」で昔から存在してくれたと感じています。
大人になるにつれて、宮崎監督が「熱意を持って、時にすごく熾烈になりながらも一つのものを作っている」姿が「かっこよく見えた」と語り、その姿に「どっか叱咤激励されるような気持ちで生活していた」と述べています。
特に、宮崎監督の作品である「風の谷のナウシカ」がモチーフになった楽曲(飛燕など)もあるなど、その影響は色濃く出ています。
楽曲「パプリカ」に込めた思い
米津玄師さんが作曲プロデュースを手がけた「パプリカ」は、「子供たちの応援ソング」として作られ、特に宮崎駿監督の作品から大きな影響を受けています。
「パプリカ」のオーダーがあった際、子供が子供たちに向けて応援歌を歌うことの意味について悩み、「あんまり頑張れとか言いたくなかったし、子供に頑張れって言わせたくなかった」と述べています。
子供たちが応援されていると感じるような曲をどのようなスタンスで作るべきかを考えた時、宮崎監督の「子供たちがこの世は生きていて値すると思えるようなものが作りたい」という姿勢が最初に浮かびました。
「子供を舐めないようにしよう」という考え方が楽曲制作において重要でした。
自身の子供の頃の記憶、特に祖父の家の田舎の景色で川遊びをしたり、花火をしたり、走り回ったりした記憶が、今の自分に大きな影響を与えていると語っています。
夢を叶えること以前に、目標に向かっていく「力」や、そのプロセスに没頭し、楽しむこと、そして「この世で生きていくというその状況自体にものすごく意味がある」と感じています。
子供たちに「夢叶えろよ」と言うのは「すごく無責任だし残酷」だとし、子供の夢は「大体叶わない」という現実を指摘しています。
夢が叶わなかったとしても不幸になるわけではないとし、夢を持つことによって生まれる「運動とか感性みたいなもの」の方が実は重要だと考えています。
歌詞で描かれる「影」の正体
米津玄師さんの楽曲には「影」という言葉が頻繁に登場します。
米津さん自身も、自身の性質として「影」や「暗い部分」に目が行きがちであると語っており、曲作りにおいてもまずそれを軸に考えてしまう部分があるとしています。
「影」には「死」につながるという仮説も提示されていますが、米津さんは「死」を決してネガティブなものだけではないと考えています。
人間が生きていく上で、死は当たり前の営みの一つであり、隠し通すものではないという哲学があります。
むしろ、死というニュアンスや匂いがあるからこそ、「今生きている」ということを強く実感できると考えています。
「影が色濃くなるほど光が輝きを増すように、死を意識するからこそ今の生を鮮やかに感じる」という彼の哲学が、楽曲の根底に貫かれています。
このような「影」の捉え方は、米津さんの音楽を作る上で非常に大切にしている部分であると述べられています。
まとめ
「Lemon」は祖父の死と重なった体験が核となり、多くの人の心に響く作品となりました。
創作の原点として、宮崎駿監督の影響が非常に大きいことがわかります。
「パプリカ」では子供へのまなざしが真摯で、押しつけない優しさが感じられました。
「影」というテーマを通じて、生と死、そして生きる意味への深い洞察が伝わってきました。
米津玄師さんの楽曲には、個人的な体験や深い哲学が色濃く反映されており、感情だけでなく、人生そのものを見つめ直すきっかけを与えてくれますね!